ろーどおぶざりんぐおぶにーべるんぐ



 むかーしむかし、神々がまだ地上を支配していた頃のお話です。

 あるところに、ロニーというそれはそれは見目麗しい青年がおりました。彼はまだ物心付く前にお父さんお母さんが死んでしまったので、ホーミンという養父に育てられて、とても勇ましい英雄に育ちました。ただし大事にされすぎて、少々ズレてボケた世間知らずになってしまったのですが。
 さて、彼はふとしたことからとてつもない力を持つニーベルングの指輪を手に入れてしまいます。しかしどうもその使い方をわかっていないロニー、思いっきり宝の持ち腐れです。それでもまあそこそこに幸せに暮らしていました。
 ところがあるとき、ホーミンが殺されてしまいます。ちょっと短絡思考のロニー、すぐさま仇討に出掛けます。
 そしてその旅の途中、火を吹く山で美しい眠り姫と出会います。ただちょっと怖いのが、そのお姫様の周りがごうごうと炎を吹き上げて燃えていること。ロニーはかなりそれで引いてしまいましたが、まあ眠り姫と出会ったのですから一応セオリー通りにキスをすることにしました。そのまま放置していつまでも目を覚まさないとむしろ姫が可哀想ですし。
 ただちょっと必要以上にディープ過ぎるキスの後、その眠り姫は目を覚ましました。それはとても偉い神様の娘で、戦乙女のカンメイ。彼女はちょっと思い込みが激しいと言うか思い込んだら一直線と言うか、ともあれロニーに一目で恋に落ちます。英雄のくせにまだフリーだったロニーは、カンメイの勢いがちょっとばかり怖かったのもあって、恋人同士になることを承諾しました。
 しかし忘れてはいけません、ロニーはまだ仇討の真っ最中。そこでロニーは、絶大な力を持つ指輪を途中で落としても困るので、カンメイに預けて再び旅に出ることにしました。
 そして首尾よくホーミンの仇討に成功したロニー、伊達に英雄ではありません。しかしちょっと間抜けなことに、彼は何故かブングルト王国の王宮に連れ去られてしまいます。そしてその国の王妃リュー公主のモルモットにされてしまいました。王妃が投薬したのはよりによって忘れ薬。ロニーは今までのことを綺麗さっぱり忘れてしまいました。無論あの怖いカンメイのことも。


 心機一転記憶喪失で出直すことになったロニーは、劉公主の娘でブングルトのお姫様ホンファンに恋をしてしまいます。そしてあっと言う間に相思相愛になった二人。ロニーはホンファンと結婚させてほしいと、彼女のお兄さんのデイビーにお願いします。
 可愛い妹の結婚相手としては、ちょっと間が抜けてるけどすんごい美形だし、性格も気取ってなくて勇気もあるし、まあロニーに対しては文句がなかったデイビーですが、ただ一つだけ不満を上げるとしたら、自分がまだ独身なのに妹だけ先に結婚してしまうのはずるいってこと。デイビーお兄ちゃん結構ワガママな男です。
 しかもこのデイビー、なかなか無謀というか高望みというか、何とあの戦乙女カンメイをお嫁さんにしたいと言い出すのです。挙句の果てにロニーに向かって言うには「カンメイを俺の嫁さんにする手伝いをしてくれたら、妹との結婚認めるよ」。無茶苦茶です。しかしズレてるロニーはそんなことには気付きません。ただ愛するホンファンとの結婚が認められるということで、思いっきりやる気になってしまうのです。ああ不憫。
 そしてロニーはデイビーと共に、何も知らず彼の帰りを待ち侘びる健気な女モードに入っているカンメイを迎えに行きます。やっとロニーが帰って来たと大喜びのカンメイに、記憶喪失のロニーは「あなたをデイビー様の奥方に迎える為に参りました」なんて言っちゃいます。記憶喪失とは言え、怖いもの知らずの男です。
 当然カンメイはぶち切れます。が、所詮幾ら戦乙女とは言え女の子。力比べで英雄ロニーに敵う訳もなく、あっさり捕まってしまいます。ただし心の中の怨念が消えるはずもなし。自分のことを忘れてしまったロニーに、可愛さ余って憎さ百倍。復讐の炎をふつふつとさせながら王宮へと連れて行かれるのです。


 さて、王宮に辿り着いたロニーとデイビーとカンメイ。それを喜び出迎えるホンファンに、いきなりラブラブモード突入のロニー。記憶喪失中とは言え、一応現在進行形で交際中と少なくとも向こうは信じている女の前で別の女といちゃつくとは、さすがと言うかロニー肝据わり過ぎです。肝臓が胡坐かいてます。
 しかし幾らロニーの肝が据わっていようとも、カンメイの堪忍袋の緒の短さは変わりません。しかも好きでもないデイビーの嫁に無理矢理されてしまった訳ですから、まあ何だか気持ちはわからないでもないです。しかもロニーが記憶喪失だとわかってないのです肝心なところで抜けてますカンメイ。
 彼女は遂に、自分を裏切ったロニーに対し復讐を思い立ちます。実はあのホンファン姫、当然と言うかむしろ意外と言うか、なかなかもてました。その筆頭が、ブングルト王国の王様デイビーの補佐を務める宰相ユン。カンメイはこのユンとデイビーにロニーの弱点を暴露してしまいます。そう、ロニーは低血圧。寝てる隙を狙えばすぐに討ち取れるとカンメイは二人に吹き込みます。でも、普通寝込みを襲われたらどんな人でも一発だと思うのですが。
 最近国内の支持が美形なロニーに集中してるのが内心つまらないデイビーでしたが、でもさすがに彼もそこまで落ちぶれてはいません。その弱点情報も聞かなかったことにします。しかしホンファンをどうしても手に入れたいユン、そんな情報を見す見す見過ごしてしまうはずがありません。割と流されやすいデイビーは、少しだけユンの作戦のお手伝いをしてしまいます。
 ユンはロニーの睡眠中を狙って奇襲を掛けます。いや低血圧でなくても普通にやられますそれ。と言う訳で人の良い英雄ロニーは、死ぬ直前にカンメイのことを思い出したのですが、そのままあっさり死んでしまいます。
 しかし自分が殺しておきながら、わからないのが女心。ロニーが死んでしまってからカンメイは後悔します。そしてロニーを、妻ホンファンに何の断りもなく勝手に手厚く葬って火葬にして、挙句自分までその炎に飛び込んで自殺してしまうのです。ちなみに死んでからも傍迷惑な女カンメイ、彼女を燃やしたその炎は、何と天国の宮殿にまで燃え移って大火事になってしまうのですが。
 さて、哀れなのはホンファン。愛するロニーは殺されて、しかも手に掛けたのは兄の側近。更に兄も一枚噛んでいると言う。これはもう人間不信確実です。誰も文句言えません。
 夫婦は似てくるものと言いますが、ロニーに似たのかどうなのかやっぱり肝の据わっているホンファン、彼女は突然王族や重臣を招いたパーティーを主催します。そしてあの憎きユンやお兄ちゃんデイビーが集まって来たのを確めると、何と自ら太刀を振るってパーティーに集まって来た王族重臣を皆殺しにしてしまうのです。
 そして彼女もまたその罪深さによって処刑されてしまうのですが・・・ちょっとやること極端ですが、後々彼女には国中からの同情が寄せられることになるのでした。めでたしめでた・・・くないですかやはり。

 しかし、誰が一番悪いのかと言えば、これはやはり文句なしに王妃リュー公主でしょう。

あとがきに代えて。

・・・ブラックです。笑えません。全然笑えない。つか死人多過ぎ。
ドイツオペラの最高峰として名高い『ニーベルングの指輪』ネタなんですが・・・元ネタの伝説自体に何種類ものバリエーションがあるので、適当に継ぎ接ぎしてます(最悪)。ちなみにもしも第二部第三部(ジークリンデとジークムント)をやるとしたら、確実に主役は大花小魚でしょうね・・・(は?)。

えーっと・・・この元ネタも提供は戦国版と同じ友人です。何つーか・・・無敵で素敵な友人がいっぱいで毎日楽しいです(爆)。と言う訳で、笑って許してやって下さい。

あ、ちなみに総カタカナ表記ですが、誰が誰だかわかります?ユンは「尹」ではなくて「弓」の方ですよー。

→モドル



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